私が漫画ソムリエみたいな職業だったら、全ての人にこの漫画を差し出す。
職務怠慢だと思われるくらいに、来る人来る人に差し出す。
逆にこの漫画が響かない人の心は、漫画じゃどうにもならねぇと思う。
人気の漫画なので評判も知ってました。
今更ながら実際読んでみて、ここ3年で出会った漫画ではダントツに素晴らしい。
この話は“よつば”という女の子の毎日が
季節の移り変わりと共に描かれているだけなんです。それ以外に言いようがない。
日常を描いたほのぼのした漫画は、
読みたすぎて学校や会社をサボっちゃうようなはまり方はしたことがないんですよ。
それがつまらないって思っているわけではなくて、
そういう楽しみ方をする漫画だと思ってるんです。
だけどこの漫画、仕事休んで読みたくなるくらいに夢中になってしまう。
必ず1冊で何度も顔がにやける場面があって、全然我慢できないんですよ。
このにやけるって言うのも、ときめきじゃないですよ。
かと言って、稲中みたいな爆笑。とも違う。
これは何なんだろう。
圧倒的な愛しさと普遍的な日常。
100%わくわくで出来ている漫画。
『よつばと』のタイトル通り“よつば”とのお話。
よつばを中心にして色んな関係が描かれます。
よつばととーちゃん。
よつばとお隣さんの綾瀬一家。
よつばとジャンボ。
よつばとヤンダ。
それぞれの接し方でよつばと触れ合う。この描き分けが抜群にうまい。
そして、どの関係も魅力的でしょうがない。
更に、よつばが可愛くてしょうがない。
よつばの行動に思わず笑顔が弾けてしまう。
特に私は、とーちゃんとよつばのやり取りがたまらなく好きです。
とーちゃんのフラットさとか、教育方針とか憧れる。
子どもに対しての距離感がいい。
そしてこの作品は、よつばが関わっていない関係も魅力的。
中でもとーちゃんとジャンボ。
この二人、大人が憧れる大人なんじゃなかろうか。
二人は友達なんですけど、大人になっても友達とあんなふうにしてたい。
よつばという存在があるからこそ、いい年した大人が集まるんだろうな。
そういう所まで感じさせる表現力は脱帽。
普通という域はけして出ない。
だけど、よつばを通して見る日常は年中無休でキラキラしている。
ただの日常と侮るなかれ。淡々とした日常なんてない。
色々言葉を尽くして書いても
この漫画ほど言葉で説明するのが難しいのは、あんまりないです。
作者のずば抜けた洞察力と、表現力。
日常をエンターテイメントに昇華させる力量は言葉では伝えきれない。
だけどこれだけは言えます。
よつばを見たら毎日は、今よりちょっと楽しくなる。
本を開けばいつでもよつばに会えることが嬉しいを通り越して、安心する境地。
そういう漫画が時々あります。
ジャンルを越えて素晴らしい漫画なので、未読の方は本当に読んでみて欲しいです。
地雷震-ディアブロ-/ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/ 星守る犬 /GENGO/
あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/ ボーイズ・オン・ザ・ラン /花より男子/
おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
←押してくれたら明日もまた頑張れそうです!
飯田響也が帰ってきました。
地雷震が終わって10年。
この続編、ディアブロが連載開始され、1巻が発売されました。
相当待ってました。手帳の2月5日に◎つけちゃうくらい待ってました。
私が一番続編が読みたかった漫画です。
作家買いはほぼしませんが、高橋さんだけはデビュー作から全部買ってます。
高橋さんの漫画に共通して言えることは、主人公に芯がピシーっと通ってて
そこから発されるエネルギーは有無を言わさず迫るものがあります。
気圧されてしまうくらいみんなかっこいいんですよ。
飯田さんはその最高峰。
とにかくかっこよさを追及した主人公だと思います。
前作の地雷震は、主人公の飯田さんが新宿署の刑事として犯人を追う話です。
飯田さんは躊躇なく犯人を撃ちます。
犯罪を犯した背景がどんなに同情に値するものであっても、法を犯したものには必ず制裁を。
クールでフラット。だけど確実に狂気じみてる。
高橋さんの漫画の中で一番強烈で最強のキャラクター。
そんな飯田さんが戻ってきました。
しかし、なんと飯田さんは視力を失って刑事じゃなくなってた。
はっきり辞職とは書いてないんですけど、それっぽい。
飯田さんが刑事やめる時は死ぬ時だと思っていたので、まじでびっくりです。
物語はそんな飯田さんに石川県警の刑事が助けを求めるところから動き出します。
自分の片目を差し上げますから、飯田さんの協力が必要だと。
今回の事件は、石川県にある小さな島で起こります。
新型インフルエンザのウイルスが蔓延した島を日本政府はパンデミックを恐れ封鎖。
島民を見殺しにします。その生き残った人たちが日本が我々を受け入れて
くれなければ復讐をすると宣戦布告します。
事件を聞いて、飯田さんは目を移植し調査に協力します。
ちょっと待って下さい。
刑事ではなくなった飯田さんが協力する理由って何なのか。
飯田さんは前作を通しても、背景があまり見えない人なんです。
犯人をパクる為なら違法調査もするし、自分を犠牲にもするほど
罪を憎む気持ちの根元は何なのか。詳しくは描かれていません。
断片を見るにそれは複雑そうでいて、案外シンプルなのかもしれない。
でも、正義感とかで括れる感じもしない。
ただ思うのは
躊躇しないのは欠落はあるけど、感情がないわけじゃなくて
自分の中に確固たる善悪があるだけで、それを貫く事だけをしている人。そんな感じ。
それが飯田さんの人生そのものだからなぁ。
だから、刑事やめようが協力する動機としてはそれで充分なのかなぁ。
今回は一般人として描かれるんでしょうか?
もしそうなら、飯田さんに出来ることは何があるんでしょうか。
公安が動いてるような事件にどう立ち向かかえばいいんだろ。
ていうか、もう銃打てないんじゃ…?
刑事じゃないなら人殺しになっちゃうじゃないですか。
既に持ってるだけで銃刀法違反だし。
その上、眼球を移植しても視力が落ちてるのでうまく打てるの?すごい心配。
1巻は序章。
久々に飯田さんの、あの皮肉めいた言葉が聞けて非常に満足です。涙出そうでしたもん。
憎悪や哀しみや狂気。そういうのを描くのがとても上手い方なので
犯人側の動きもとても見応え有だと思います。
前作でもお馴染みだった面々も登場します。1巻では中原医師と彩が出てきています。
時間も前作から数年経っているみたいで彩も大人っぽくなってるのに、
まったく変わらない飯田さん。
相沢はどうしてるんでしょう。是非出てきて欲しいけど。
作家として充分経験を積んだ高橋さんが、
今後飯田さんをどう描くのか楽しみでしょーがない!
あんな主人公を描けるのは高橋さんしかいない!
今回の作品だけ読んでも、楽しめますが前作と併せて読むと面白さは倍増です。
今から2巻が楽しみでしょうがない。あの主人公は誰にも止められねーよ!
■漫画感想文一覧
ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/ 星守る犬 /GENGO/ あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/
ボーイズ・オン・ザ・ラン /花より男子/ おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
読んでいる時はさほど心にひっかかりは感じず
淡々と読んでました。
読み終わった後に、
あ。これ、なかなか面白いわ。って思って、
次の日に
あ。やべ、すげー面白かったわ。あれ。って思って
その次の日に
これ、ちょっと誰かに言いたいな。この面白さ伝えたいわ。
になります。
すごい余韻を引く作品です。
どんな話しなのかと言うとですね…
主人公‘慧’は人の心が読める。
人に触れることでその人の記憶や過去、更には未来まで見えてしまう。
その能力のせいで、家族とも縁を切り、友人もいない慧。
そんな中、ある宗教に入信した慧はその能力を利用されてしまう。
人の心を読むには、体にも心にも大きな負担がかかる。
知りたい事だけ選んで見るようなコントロールはできない。
もう誰の心も見たくなくて彼女は、見知らぬ土地へと逃げ出します。
そこで出会った人々との生活と
この能力と付き合っていかなきゃいけない彼女の思いが
描かれている作品です。
そんな能力を持っちゃったら相当しんどいっていうのは
容易に想像できます。
そんで、
そんな能力を持っている人がいたら
利用したいって考える奴が出てくるのも容易にわかります。
もう救いなんてないじゃないすか。
人に触れないし、人間の汚い所は沢山見ちゃったし
自分の能力によって悲しむ人も沢山見てきたし。
でも人は、絶対一人では生きていけないんですよ。
生きている限り誰かと関わり続けていくしかないんです。
誰も私に触れないでと思っていても
本当にゼロにするのは無理な話。
そんな中で、どうしてもできてしまう人との繋がりに
救いなんてあるわけがない。
そう思っていても
何度も見てきた悲しい結末を知っていても尚
人によって救われることがあるかもしれない。
そう思わずにはいられない。
2巻で出会うタカちゃんという女の子なんですけど
彼女はなかなか泣かせるキャラです。
今は2巻までしか発売されてないので
それ以降の話はまだ読んでないんですけど、
2巻までのところでは、まだまだ人間捨てたもんじゃねー
って感じでした。
どんな状況でも
自分の利益を度外視して誰かを思いやれる人っていうのは
多分、いるんだと思う。
本当、そういう人を見ると私に足りないものばかりを指摘されているような
気がして目をそらしたくなっちゃうなぁ。
2巻ではハートフルな展開で終わりましたけど
人に拒絶され続けた人間が人間によって救われていく。って話しじゃないよね?
主人公がもっと自分の能力と向き合っていく
しんどい作業があるんじゃないでしょうか。
この能力を使って世界を救う!みたいな話ではないとは思います。
そういう広げ方はないだろうな。
ただ、心にじんわり染みてくるような作品だから
あまり展開はしていかないかもしれない。
私はそれは、それでいいと思う。
伊藤さんは、新人さんらしいですけど、
構成がまじでうまいです。
あと、嫌なものを本当に嫌な感じで描くのがうまい。
人の心を読む描写はぞわぞわしてていいですね~。
人間というものを生々しく描いた作品は
絶対拭えない黒さが根底にはあります。
けれども最後はどこかに救いがあって欲しい。
そう願いながら3巻以降も楽しみに読んでいこうと思います。
読んだ漫画のレビューを書いてます。
かと思えば、
自分と世の中の微妙なズレを
嘆いてみたり、
恋に思いを馳せたりしています。
無駄に湧き上がる言葉達よ。
記事が長いのは本当申し訳ない。
暇な仕事中とかにちょろっと
見れるようなブログ目指してます。
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うまくできるかどうかは別ですが。
だから何でも言葉にしてしまいます。
そんな自分に時々疲れます。
私の人生は漫画に彩られ
妄想に支配されている。