長編の漫画は最終巻が出てから、感想を書こうと思っているんですが
最近の面白い漫画はなかなか最終回を迎えないので
いつまで経ってもこの好きだって気持ちが書けない事にジレンマを感じ
もう書いてしまえと言うことで、ここに記します。
もうね、この漫画ね、新刊が出る度に泣いてしまうんですよね。
しかもそれは演奏シーンなんですよ。
形のない音を描くって、至難の業じゃないですか。
だけど、この漫画は演奏しているシーンがとても大切なので
作者は演奏しているシーンの見せ方に、めちゃめちゃ神経を使ってると思う。
だってとにかく伝わりますもん!ピアノの力ってすごい。
音のない漫画の世界で、音を描いたシーンを見て泣けるって、
どんだけ表現力あんだって毎回思う。
ピアノの演奏なんか聴いた事ないんですけど、漫画で泣けてしまった。
そして、何かの道を究めようとする者の宿命を、こんなにもしなやか描くとは!
ピアニストの父を持ち、幼い頃からピアノの英才教育を受ける「雨宮修平」と
母と二人劣悪な環境で暮らす、楽譜すら読めない少年「一ノ瀬海(カイ)」の物語。
圧倒的な才能を持って生まれたカイは、幼い頃から森にあるピアノを弾いて育つ。
そこで自然と才能を開花させていき、どこまでも自分のピアノを弾く事で他を圧倒していく。
そのピアノを聞いた雨宮は、自分が手にすることの出来ない何かを、幼い頃に感じてしまう。
それがこの先ずっと雨宮を縛り付ける。
カイくんのピアノにとらわれて、ずっと自分のピアノを好きになれない雨宮は
努力に努力を重ねて、自分のピアノを模索し続ける。
その作業はきっと出口の見えないトンネルを歩き続けるようなもので
この道が正しいのかさえわからなくなる旅路です。
雨宮はけして凡庸なわけではありません。
優れた能力を持っているし、コンテストでもいい成績を残しています。
けれど、彼の中でいいピアノとはカイくんのピアノを指します。
それを越えられない以上雨宮は救われません。
自分には弾けないピアノ。いくら練習しても越えられない何か。
それを見せつけられてもピアノを弾き続ける事しかできない。
努力だけじゃどうしようもないものはある。
そして、どうしようもないものを欲しがる自分を止められないのも、
またどうしようもない事なんです。
私は才能で負けてるなら、自分が持っているものを工夫して使って
才能持っている奴と戦わないといけないって思います。
綺麗な服と美しい容姿を持った人がいて、自分は汚い服と10人並の容姿しかないなら、
美人より面白い事して笑わそうとか、汚い服は加工っぽく見せるみたいな。
でも、本音は同じフィールドでなら、同じ才能もって戦いたいじゃないですか。
綺麗な服着たいし、美人がいい。その上で面白い事するし。
なんて言ってないものねだりして、自分を否定し続けるほうが意味ない事くらい知ってても。
それ受け入れたくないんですよ。
だから、足掻いて、正面からぶつかって努力が才能を凌駕する瞬間を見たくなる。
私はそんなふうだから、得られないものをどうにかして得ようとする
まだ若くて、周りが見えない雨宮にすごく感情移入してしまいます。
でも結局、ピアノが好きで好きで弾いちゃう!っていう
原点を忘れないでいれるほど、ナチュラルなカイに強烈な憧れがありますけども。
彼は人に与えられたものを、もれなく素直に享受し感謝できる大器。
本当いい奴で雨宮のピアノが大好きなんですねー。
カイくんは雨宮のピアノのよさを見抜いているんだと思いたい。
というか、人それぞれの好みで善し悪しが別れる正解のない世界で
比べるとか関係なく、誰かが素敵だと思えばいいんだっていう事を
そこで描いてるんだろうなぁ。
読んでて苦しい事も多いですよ。ホント。
でも、なんででしょう。暗い気持ちにはならない。
これがこの漫画の不思議なところで、その苦しさに愛しさすら感じてしまう。
やっぱり、みんな前を向いてるからでしょうか。
誰もが悩んでいて、そこに才能だったり環境だったりが絡んでうまくいかない事がある。
だけど、この漫画を読んでいると、人の数だけ正解がある世界で、
それぞれが、それぞれの答えをいつか見つける事ができる気がするんですよ。
人生ってそんなふうであって欲しいと願う。
何かを究めようとする者特有の苦悩を描きながら
読んだ後は、身体の中を風が吹き抜けたような感覚がする漫画です。
読んで損はないです。絶対。
ちゃんと雨宮にも光は見えますから!
■漫画感想文一覧
テルマエ・ロマエ/ SEX/ よつばと /地雷震-ディアブロ-/ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/
星守る犬 /GENGO/あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/ ボーイズ・オン・ザ・ラン /
花より男子/ おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
お、おもしろい…っ!!
ぶーっ!って吹き出すくらい面白い。
一旦はまると5Pに1回くらい声出して笑ってしまう。
この漫画結構前から話題になっていますけど、読むべきです。
話題には乗っとけ!乗っとけ!
舞台は栄華を極めた紀元前130年の古代ローマ。
設計技師のルシウスは、斬新なアイデアが出ず事務所を解雇され困っていた。
そんな時に風呂に浸かっていると現代の日本にタイムスリップしてしまう。
そこで目にした文明の利器にショックを受けつつも
建築家としてその知識を古代ローマに持ち帰り風呂を作る。という話。
この人時々タイムスリップするんですけど、決まって風呂限定。
いきなり風呂から外人が出てきたら、警察沙汰だと思うけどそんな事には全然ならない。
風呂は人を優しくさせんのかな!!
最近、一話だけ本屋で読める事が多いじゃないですか。
これ、片っ端から読むんですけどやっぱり一話じゃわかんないわけですよ。
でもこの漫画は一話から面白かった。
一番最初にタイムスリップした時は、日本の銭湯に出ちゃうんですけど
この話だけ本屋で試し読みができたんです。
ローマの風呂で溺れて、やばいって思ってギリギリの所で水面に出たら
そこは銭湯でしたみたいな感じです。
ルシウスはパニックになりながらも、そこは職人。
真面目に風呂の造りを解析し始めちゃう始末。おそるべき探求心。
そりゃこんな職人がたくさんいたらローマは栄えるわ。
そこで見た洗面器の見事な色に感動し、
貼ってあるポスターの完成度に関心し、
フルーツ牛乳の美味しさに驚愕し、
世界一(当時)の技術を誇るローマ人のプライドをうち砕かれる。
だけど腐らないで、むしろ燃えちゃうのが職人魂。
ローマに戻ってばっちり21世紀の日本をパクった風呂を造っちゃう。
ローマ人としてのプライドも、あまりにも前衛的な日本の風呂の誘惑には勝てなかった…!
一話を読み終わって、無意識にレジに並んでました。
この主人公面白すぎる。
そしてこの漫画の何が面白いって、登場人物全員が誰もボケてない。
突っ込みもない。全員が一生懸命立ち回っているだけ。
それが妙な感じでかみ合ってしまい、残念ながら可笑しくてしょうがない。
作者の画力が高さが余計可笑しい。
表情とか細かく描きすぎて、躍動感がはんぱじゃねぇ。
あの絵柄は武器だなぁ。見事にギャグとして昇華されている。
あとは、間ですね。
センスありすぎる。
私はたたみかける笑いよりも、間をスカーンと空けて笑いを取るほうが好きなので
たまらないです。
久々に面白いギャグ漫画に出会えて、嬉しくてこんなにも書いてしまいました。
ただ、ギャグ漫画を解説することほど無駄で難しい事はないなぁと思いました。
モチーフがモチーフなだけに、長期連載は難しそうだけど以下続刊です。
2巻もとても楽しみにしています。
SEX/ よつばと /地雷震-ディアブロ-/ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/ 星守る犬 /
GENGO/あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/ ボーイズ・オン・ザ・ラン /
花より男子/ おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
←押してくれたら明日もまた頑張れそうです!
私は夏が好きで、特別な思い入れがあります。
夏の始まりから最盛期、そしてもの悲しい夏の終わり迄。
夏に詰まっている要素全てが愛しい。
夏は一瞬であり、永遠でもある。
だから私は、夏と言えば!っていう漫画が好きです。
夏を具現化してくれる漫画が好きです。
そんな漫画を読みたいと思って探すと
決まってこの漫画に行きあたる。
もうそこまで言うなら、絶対読まないと!と意気込んで3年。
先日全巻読み終わりました。
そうやって読みたいなぁ。と思って放置してる漫画がたんまりあるなぁ。
そういうのって、何かきっかけがないと読めないですよね。
友達んちに1巻だけあった。とか。
好きな芸能人がめっちゃその漫画をオススメしてるインタビューを読んだ。とか。
(読みたい気持ち)+(何らかの後押し)がいるもんですよねー。
閑話休題。
この漫画は、連載当時には単行本は2巻しかでなくて
数年前に、12年振りにやっと全巻出たというファン泣かせな漫画らしいです。
全7巻を読み終わってまず私が放った一言は
「まじ、羨ましいぃぃぃぃ~~~~」
でした。
どうしようもないほど夏で、青春で、バイオレンスで、自由で、
何か運命めいた絆で繋がってる仲間がいる。
美しいものや憧れを全部詰め込んだような漫画でした。
ずっと俯瞰で見てるような感覚なので、
漫画と自分の距離がすごく遠いように感じてちょっと寂しかったけど。
何かそれくらい、踏み込めない完璧な世界があった。
多分これはストーリーというより、ここに流れる空気を感じ取ってくれという漫画です。
だからストーリーは、かなり説明不足なところがあるけど
そこに捕らわれるような漫画ではなかったです。
ちくしょー。素敵すぎるよぉ。
何が素敵かって
この漫画は、ユキ(♂)・カホ(♀)・ナツ(♂)の3人の物語。
幼なじみのカホとナツ。ナツの引っ越しで一度は離ればなれになるも
引っ越し先の沖縄でユキという相棒に出会い、一緒にカホのいる福生に戻ってくる。
そこから3人の生活が始まります。
この3人。別に三角関係とかじゃありません。
カホとナツはお互いに想い合い、また二人ともユキをとても大切にしている。
ユキもまたカホとナツを大切にしている。
誰もが欠けてはいけない完璧な関係。まさに黄金比。
ユキという人物は、謎だらけで最後までその謎ははっきり証されません。
感情も読めなくて、ほっとくと何処かに行って、
もう二度と帰ってこない気がしてしまうキャラなのですが、
ユキの帰る場所は、カホとナツの所だと思わせてくれる。
そんな登場人物たちの雰囲気や空気感を感じろ!っていう。
それが全てみたいな漫画です。
いいなと思ったのは、全員が飄々としてて、何を考えているのかわからない。
それがより完璧な関係性を演出してます。
3人にしかわからない、何かがあるかのように。
一瞬を切り取って絵にする。
当たり前ですが、それをつなぎ合わせるのが漫画です。
この漫画は、流れていく時間の中でこれ以上ないという刹那の瞬間ばかりを集めたような感じがします。
ストーリーを説明する事を優先したコマっていうのがあまりない。
だからひどく断片的で、コマとコマの間に多くの想像力がいります。
この感覚が好きな人にはたまらない作品ですね。
逆に、そういう作品はダメな人はとことんダメだったりしますが、
それがそうでもなかったりします。
多分それは、この感覚が普遍的なものだからだと思うんです。
結構淡々としてるのでさらっと読めてしまいます。
なのに心にじわりと広がっていって、最後7巻を読み終わった後には
自分の中にこの世界が出来上がっている。
1巻、1巻読み進めて行くと、少しずつ構築されていく世界。
そして7巻目で完成するように出来ている。
永遠が完成する。
それを目の当たりにしました。
触れる事のできない完全を
とてつもなく羨ましいと思いました。
言葉は尽くせば尽くすほど真意とは遠ざかって行くことがありますが、
この漫画がまさにそれだと思うので、もうこの辺で。
よつばと /地雷震-ディアブロ-/ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/ 星守る犬 /
GENGO/あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/ ボーイズ・オン・ザ・ラン /
花より男子/ おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
←押してくれたら明日もまた頑張れそうです!
読んだ漫画のレビューを書いてます。
かと思えば、
自分と世の中の微妙なズレを
嘆いてみたり、
恋に思いを馳せたりしています。
無駄に湧き上がる言葉達よ。
記事が長いのは本当申し訳ない。
暇な仕事中とかにちょろっと
見れるようなブログ目指してます。
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うまくできるかどうかは別ですが。
だから何でも言葉にしてしまいます。
そんな自分に時々疲れます。
私の人生は漫画に彩られ
妄想に支配されている。