いくえみ作品で、これは伝説になるだろってレベル。
絶妙すぎる。
この漫画は15歳で死んだハルタと、その幼なじみのカンナに関わる人々が、
代わるがわる主人公になり物語が進むオムニバス作品。
物語に張り巡らされた糸は、交差し繋がり、大きな輪になる。
1つ1つの話を単体で見ても全力で楽しめるし、
全体を通しても一つの物語になっていたりして、とんでもない作品。
人生の無常を描きながらも、やっぱり希望も忘れない。
人によって傷ついても、人にって救われると信じたい。
いいことも悪いことも全部持っていくしかない。
それでも、いつか、いつかと信じて頑張って生きていきたい。
恋愛のときめきもきっちり押さえた上に、生きてくってことはこういうことだ!
ってことまで描いてしまう。
長年少女漫画界の第一線でやってるだけある。
この作者のすごい所は、人間ってそれぞれ違うけど傾向はあるじゃないですか。
その傾向と対策がばっちりなとこですよね。
登場人物の誰かに絶対共感できる。
それとこれ、大事な事なんですけどね
この漫画さえ読めばいくえみ男子は網羅できると言っても過言じゃない。
いくえみ作品と言えば、やっぱりいくえみ男子と言われる素敵男子の存在。
まぁとにかく、いくえみさんの描く男子はハズレがない。
男の子っていう生物を、男と女の根本的な違いをちゃんと描く事で、
女の子の憧れる男子を表現してる。
みんな等しくかっこいいもんだから逆に、個人的には
飛び抜けてこの人が好きだっていうのが、今まではなかったんですよ。
それは悪い意味じゃなくて、全体のレベルが高すぎっていう話しで。
でもこの漫画を読めば、自分にぴったりの男子が絶対いる。
ベストオブいくえみ男子に出会える!
私も古谷くんに出会ってしまったからね。
もうこれ、暫定1位じゃなくて確定だろ。
13巻に古谷くんと百加の読み切りが入ってますけど、この話は額に入れたい。
私が死んだ時、スライドで流して欲しい。
このように、自分の中ですごい大切になる話しに出会えると思うんですよ。
どこかに必ず琴線に触れる話・人がいるはずです。
この漫画はそういう漫画なんです。
この漫画で一つ大きく描かれているのは
カンナが、15歳の時誰を好きだったのかということなんですが
それがはっきり描かれる事はありません。
15歳の時にカンナとハルタは、クラスでアサミという女子とマヤという男子に出会い
4人で楽しく過ごします。その期間はわずか4ヶ月。
ハルタが死ぬ事でその関係は終わりを告げる。
カンナの気持ちはまぁ普通に読めば、わかります。
曖昧になんとなく理解してる事を深く追及することなく、
そのままの状態で大事にしまっておくことも時には大事だと思うんですよ。
でも、やっぱりその辺は、はっきりさせてぇなと思って
以下に書かせてもらいました。
ネタバレなので読みたい方だけ、続きからどうぞ。
逆に読んでない人が見ても意味がわからない仕上がりになっております。
はっきり描かれないって事は、勝手に想像しますけど
作者の真意とはほど遠い所で納得してたらすいません。
(正解があるのなら誰か教えて欲しい。)
カンナはハルタの事を好きだったに違いないです。
だけど禄ちゃんがカンナに言った一言
「好きになってやれなかったから後悔してるんだろ?」
の言葉に一瞬停止しました。
だって、こんな事全然見当違いなら、わざわざ描かなくね?
しかもその言葉にカンナは、図星みたいになってる。
私は、好きだと伝えられなかった事で
罪悪感に苛まれてたと思ってたんですよ。
事故の時、マヤに会っていた事も、届いたメールに返信できなかった事も
原因を探せばきっと無数にあるんだけど、罪の意識の海に落としたのは
自分の言葉で言えなかった事だと。
私は、3巻で出てくる亜衣ちゃんの夢に出てくるカンナが
本当のカンナなんじゃないかと思うのです。
ハルタ好きだよと号泣して言う亜衣ちゃんの夢の中のカンナ。
あんなふうに、15歳のカンナが叫んでいたらきっともっと楽になっていただろうなぁ。
(それと似たような事をしてくれたのが、禄ちゃん)
カンナは長い間、罪悪感に苦しめられて過去に向き合うことができませんでした。
その罪悪感は、ハルタを忘れる事を許さない。
だからカンナは15歳のままいようとして、これ以上自分に思い出を詰め込まないようにして
一人で過ごしていました。
長い間一人で悩むとね、本当ろくなことないんですよ。
勝手に自分の中でこんがらがってっちゃって、本心も真実も見えなくなってしまう。
カンナが思ってるハルタは、もうとっくに本当にハルタじゃなくなってるかもしれない。
古谷くんが言ってるけど、カンナの過去はもうカビはえてるんですよ。
だから禄ちゃんに
ハルタはお前を縛り付けるバケモノだったか?と聞かれて
はっとするんですよね。
多分カンナは、言えなかったのは好きじゃなかったからだと
長い時間をかけて思うようになってしまったから、
禄ちゃんの好きになれなかった発言に、ショックを受けたんじゃないのかなぁ。
シンプルに考えて、カンナはハルタを好きに決まっている。
ハルタの気持ちを知ってて、それを自分はただ受け止めてただけだった事を
責めているけどそれは別に悪い事じゃないって。しかたない。
15歳の子が、一生を誓える愛なんて考える事はなくて
でも死んだ事で、その愛は永遠の重さになってしまったから動けなくなった。
死人には勝てないっていうけど、そういう事なんですよね。
ハルタが自分にはっきり好きだと伝えなかった事。
自分がハルタの事を好きだと伝えなかった事。
それでも、お互いの気持ちはわかってた事。
それを禄ちゃんが自覚させてくれたわけですよ。
もうそれが全部なんだって。
全然根拠ないけど、
カンナは禄ちゃんの事初めから好きだった気がする。
本当みんな幸せになってくれて良かったよ。
心から思います。
■漫画感想文一覧
モテキ/残酷な神が支配する/賢い犬リリエンタール/
ピアノの森/テルマエ・ロマエ/ SEX/ よつばと /地雷震-ディアブロ-/
ミツバチのキス/ 溺れるナイフ/ 星守る犬 /GENGO/あずみ/ BECK /ベルサイユのばら/
ボーイズ・オン・ザ・ラン /花より男子/ おおきく振りかぶって /私がいてもいなくても
読んだ漫画のレビューを書いてます。
かと思えば、
自分と世の中の微妙なズレを
嘆いてみたり、
恋に思いを馳せたりしています。
無駄に湧き上がる言葉達よ。
記事が長いのは本当申し訳ない。
暇な仕事中とかにちょろっと
見れるようなブログ目指してます。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
うまくできるかどうかは別ですが。
だから何でも言葉にしてしまいます。
そんな自分に時々疲れます。
私の人生は漫画に彩られ
妄想に支配されている。